もし本というものに生命力というパラメータが存在するとしたら、地球に隕石が降り注ぎ世界が荒廃に向かっても、この本は変わらず輝きを放ち続けていることでしょう。
労働者階級の男が、乾いたスポンジが水を含むように上流階級の知識や書物や哲学を吸収し、自分の中にある出来事や愛や芸術を文字で綴れば素晴らしいものになるという確信と、世間や貧困や周囲の無理解との戦いの物語。
一日5時間睡眠で、起きている間はずっと勉強と執筆。
すべて独学で。
学校は進捗が一番遅い人に合わせるから非効率であること、執筆には必要のないものを勉強しなくていいことを無学の身でありながら彼は心得ている。
そして大学生の学力を1年も立たずに超えていく。
そして彼は貧困に苦しみながら、起きているすべての時間を執筆に充て、成功するために小説の投稿を続ける。
ときには投稿のための切手代すら捻出できないほどの飢えや、執筆を断念して数ヶ月の出稼ぎに出ねばならない場面にも直面する。
全編面白かったですねえ。
520ページというかなりのボリュームなんですけど、ずっと面白かったですねえ。
人生でいちばん面白かった小説かもしれない。
この本が書かれたのは1907年で、すでに100年以上前なのに古さはまったくなく、ただひたすらに面白かったです。
面白さにびっくりした。
寝たくないって思った。
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
VISIONS 2021 ILLUSTRATORS BOOK pixiv
池袋の西武百貨店でEX_VISIONSというpixiv主催の展覧会やってまして、そこで売ってました。図録かなーと思ったら2020年pixiv人気クリエイター総まとめ本みたいな作りでびっくり。展覧会にあ …続きを見る
POPEYE特別編集 部屋とシティボーイ2 POPEYE
部屋の本が好きです。古くは都築響一さんの『TOKYO STYLE』や『賃貸宇宙』から川本史織さんの『女子部屋』まで。部屋の本はだいたい買っちゃう。
それと最近、家を建てたい欲が強くて。ドアノブひとつ …続きを見る
一九八四年 ジョージ・オーウェル, 高橋和久
これまで読んできたSFはSFじゃなかった
ちょっとこれ以前につけたSF本の点数つけ直させて! 圧倒的すぎる!
これが本当のSFだ
本当のSFとは何かと聞かれたら困るけど、これこそがSF小説だ
…続きを見る
Casa BRUTUS特別編集 猫と家。 Casa BRUTUS
建築段階からキャットウォークやペットドアなどを組み込み、猫が自然と楽しめる家を作った人たちの施工事例集
それをCasa Brutusのセンスのいい誌面で見せる
最高です
こんな本、ほかにあるのか …続きを見る
POPEYE 2022年 3月号 [シティボーイの部屋] POPEYE
部屋の本が好きです。
どうせこのあとに出る合本版も買うのに買っちゃう。
今回の部屋特集あまりよくなかったなあ。200平米の部屋ばかり紹介されても「スンッ…」てなる。恵まれすぎている。持つものが …続きを見る
ILLUSTRATION 2014 SE編集部
毎号完璧で特に言うことがないです。目が幸せで、毎回新しい発見があり、世界が広がっていく。自宅用と職場用、二冊欲しい。ちなみに当然絶版で、Amazonで中古で買ったんですけど「株式会社コロプラ蔵書」って …続きを見る
anna magazine vol.6 anna magazine
みんな大好きアンナマガジンです。今回は2015年に発売されたvol.6。まだフォトジェニックな写真が多いですね。でも初期の「素敵な写真でしょ! アメリカ最高でしょ!」的なキラキラアメリカ至上主義みたい …続きを見る