90-99点

道祖土家の猿嫁

土佐の、おそらく仁淀川と思われる、贄殿川流域の山村を舞台にした大河小説だ。かつて士族だった村の名主に嫁いできた、その容貌から猿嫁と呼ばれた蕗の、明治から昭和に及ぶ90年あまりの人生を描いている。明治初 …続きを見る

パライゾの寺

パライゾとはポルトガル語で楽園・天国を意味し、隠れキリシタンが崇めたところだ。幕末から20世紀半ばにかけての土佐の民俗を、宮本常一と思しき学者に人々が話すところから物語がはじまる、7つの短編集で、表題 …続きを見る

梟首の島

上下巻で800ページを超える分量もあり、少し読み進めるのが辛いかもしれないが、明治維新後の自由民権運動と女性の権利向上を真正面から捉えた大作だ。梟首とは処刑され、晒された首のことだ。物語は、父親が西南 …続きを見る

サカナとヤクザ

アワビ、ウナギ、ウニ、ナマコにカニ…高級な海産物がヤクザらによって密漁され、市場に流されていたら…という、知る人ぞ知る漁業と暴力団の関係を暴いた本だ。著者はヤクザを取材するうちに、東電など電力会社を頂 …続きを見る

出星前夜

島原の乱を扱った大著だ。島原半島の地名や農民の名前、そして松倉家の苛政や凶作が描かれ、読みにくいかもしれない。だが読み進めるうちに、天草や島原に住んでいる農民たちはかつて朝鮮半島にまで戦に出かけた武人 …続きを見る

山妣(やまはは)

山妣と書いて、やまははと読む。いわゆる山姥(やまんば)の物語なのだが、2段組で約500ページと分量がかなり多い。舞台は明治末期になっても江戸時代と変わらぬ暮らしが続く、越後の豪雪地帯。しかも季節は鳥居 …続きを見る

土の記(上)(下)

圧倒的な描写の小説だ。奈良の中山間地、過疎の里山で農事に勤しむ70代の男が主人公だ。交通事故に遭い、植物状態のまま16年寝たきりだった妻を冬に失った年の梅雨から、翌年までの男の暮らしが、精彩に描かれる …続きを見る

宮本常一を旅する

著者は現在、武蔵野の国立ハンセン病資料館で学芸員をしている木村哲也。彼が全国を旅した民俗学者・宮本常一の足跡を追っていった記録だ。訪れた時期は木村が学生だった90年代が多いが、それから改めて取材してい …続きを見る

東電OL殺人事件

ノンフィクション作家による事件ルポルタージュだが、まるで探偵小説のように書き手が行動というより、突っ走っていく。完全な公平中立という立ち位置は不可能なのだろうが、書き手は警察の稚拙な捜査をあげつらい、 …続きを見る

令和元年のテロリズム

「川崎市中1男子生徒殺害事件」をきっかけに川崎の不良や在日といった暗部と、そこから這い上がり連帯する人々を描いた「ルポ川崎」の著者・磯部涼が、登戸の殺傷事件、それに触発された元農林水産省事務次官による …続きを見る

残火

タイトルはのこりび、と読む。白昼堂々、議員会館から盗み出されたヤミ献金一億円。盗んだ犯人は、かつて名を馳せた伝説の元ヤクザだった。犯人を今は議員会館の老守衛となった元マル暴刑事が追う。そして議員やヤミ …続きを見る

最果ての街

冒険小説、探偵小説を得意とする西村健が、東日本最大のドヤ街、山谷を舞台に描いた作品。ドヤ街、山谷とは日雇い労働者の街で、ホームレスも多い。その中で1人のホームレスが惨殺されてしまい、ハローワークの山谷 …続きを見る

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