われわれ日本人はどうしたって第二次世界大戦から逃れることはできないわけですが、なんとなく
・昭和天皇が原爆を招いた
・昭和天皇は開戦には実は反対だった/昭和天皇が開戦を決断した
・マッカーサーに命乞いをした
・マッカーサーに「朕のちんちん」といってたしなめられた
みたいなことを聞きかじりの知識で知っていますよね
で、この本を読むまでは昭和天皇が戦犯で、なんで裁かれなかったんだろうと思っていました
この本を読んで絶望しました
この本の内容を全面的に信頼するなら、戦争は軍と無能な内閣のせいで起こったことを知りました
この本は昭和天皇が終戦の1年後にごく僅かな側近だけに明かした、戦争に至るまでの告白です
それを外務官の寺崎英成が記録し、アメリカ人の遺族に渡りました
寺崎英成の妻は日本語が読めなかったので、この記録もしばらく表に出ることはありませんでした
その後、寺崎英成の孫が戦争に興味を持ち、当時の手紙と一緒に入っていたこの紙束を読めるようにするため日本の機関にこれを持ち込んだところ、世紀の大発見となりました
1990年に文藝春秋に掲載されるまでこの存在はだれにも知られていませんでした
昭和天皇は戦争にも三国同盟にも反対だった
アメリカと敵対すれば石油が入らなくなり、軍事同盟はアメリカと敵対することになる、と知っていた
当時の軍や内閣は誰もここまで頭が至っていなかった
天皇のお言葉は絶対、みたいなイメージがあるが、当時の発言権は一大臣と同レベルのものだった
むしろ軍の力が圧倒的に強かった
御前会議のメンバーには全員同等の発言権があり、天皇一人が反対でもその他全員が賛成なら多数決の原理で賛成となるのだった
真珠湾攻撃の前にもアメリカから何度も和解の申し入れがあった
和解締結直前、クソ無能の松岡外務大臣が「俺の立てた案じゃない」という理由で反故にし、アメリカと戦争せざるを得なくなった
マジで絶望
こいつがいなければ原爆が落ちることも、日本が第二次世界大戦に巻き込まれることもなかった
もちろん、この天皇が嘘を言っている可能性も、書き起こし時に忖度された可能性もある
だがそういった部分には「発言者の間違え」だったり「本来は7月ではなくて8月」といった注釈が加えられている
また、当時の大臣が綴った「木戸日記」や、GHQの回顧録とピタリと一致する部分が多分にあったりと、この本は信頼に値するものだと思った
これまで、自分の中では戦争責任を天皇陛下に求めていたけど、松岡大臣という存在を知り、そいつがA級戦犯として処刑され、今では無名のものとなっていることに絶望した
恨む対象がなくなり、誰を恨んだらいいかわからなくなっている
A級戦犯のせいじゃん
あいつらをもっと断罪しろよ
天皇陛下は悪くないじゃんかよおーなんだこのもやもやーー
統一教会がなくなったら、宗教二世もこういう心境になるんだろうなーー
恨みの対象って大事だーー
こないだ、シン・ゴジラみまして、ゴジラへの攻撃が総理の承認無しではできなかったのね
そのときは「現場が判断しろや」って思ったんだけど、軍に権力をもたせちゃダメだ
バカしかいねえ
戦時中の日本は軍事政権だった
天皇はそれを一生懸命抑えるためにできるかぎりのことをした
でもダメだった
君が代に反対してるやつも昭和天皇が悪いと思っているやつもこれ読め
崩れ落ちるぞ