教科書にも載っている、有名な古典ですね
男性である紀貫之が女性になりきって書いたという日記
土佐から京に帰るまでの船旅の日々
海が荒れてほとんど船が動かず、40日ほどの日記に対して実際の移動日は1週間ほどだという事実にびっくり
ほとんど港に泊まって、ひまだひまだと愚痴るだけ
枕草子みたいな面白さはなく、日記帳に書くようなとりとめのないことばかりが綴られています
だから、あのー……読み物としては全然おもしろくなかったですねえ
当時の風俗がわかるわけでもないし、ずっと船と港にいるだけだから場面も変わらないし
たとえばコロンブスの航海日誌があったとして、
ほとんどは「今日は波が強かった」「今日は穏やかだった」「今日は船員が喧嘩をしていた」というのが大半だと思うんですよ
新大陸を見つけた瞬間はそりゃあ興奮の絶頂で最高だろうけど、航海の全記録はつまらないだろうな……と思いました
ただ、なぜ土佐日記が女性の文体で書かれたかというと、
女性はかな文字を使うことができ、
漢文だけでは表すことができない感情などを描き切ることができたから、という説があります
そういう背景を知るとこの本も別の見え方がしてくるのですが……この本だけを与えられるとつまらないなあ、で終わると思います
せっかく読むなら背景を知ってからほうがいいです!
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
そぞろ各地探訪 panpanya旅行記集成 panpanya
これほんとどうやって作ったんだろう
panpanyaさんを特集したユリイカで、panpanyaさんはビニールシートだとか段ボールとかを使って同人誌を製本していた、という証言があったり、
先日行った …続きを見る
100話で心折れるスタートアップ えい
スタートアップの落とし穴を100ワニ形式でまとめた本
スタートアップあるある4コマと、その4コマにまつわるコラムの構成
めっちゃ面白かったですねえ
見につまされるようなつらい話ばかり
ツイ …続きを見る
POPEYE特別編集 部屋とシティボーイ2 POPEYE
部屋の本が好きです。古くは都築響一さんの『TOKYO STYLE』や『賃貸宇宙』から川本史織さんの『女子部屋』まで。部屋の本はだいたい買っちゃう。
それと最近、家を建てたい欲が強くて。ドアノブひとつ …続きを見る
愛のゆくえ リチャード・ブローティガン, 青木日出夫
リチャード・ブローティガンのなかでももっとも長く、小説らしい作品。
巻末に高橋源一郎さんのコラムが載っていて、高橋さんはブローティガンのなかでもこの『愛のゆくえ』が一番好きらしい。
舞台は図書 …続きを見る
きみのまち 歩く、旅する、書く、えがく 今日マチ子
コロナ禍の日々を「わたしのstayhome日記」として発表し続けてきた今日マチ子さんが、コロナが開けてようやく旅行に出かけた台湾での絵と文章での記録
今日マチ子さんにとって初のエッセイ集
…続きを見る
Casa BRUTUS特別編集 時代を超えて愛される、デザインの良い車。 Casa BRUTUS
現在でもデザイン的に引けを取らない名車を集めた本
表紙のワーゲンゴルフをはじめ、ルノー 4やフィアット500など、みんなが納得する名車ばかりがラインナップ
旧車とまではいかない80~90年代の車が …続きを見る