犬養毅の孫娘、犬養道子さんの1948年~1957年の海外見聞記。
犬養道子さんという存在、まったく知りませんでした。この本を読んだきっかけは、香山哲さんの『ベルリンうわの空』で犬養道子さんという人が当時のベルリンについて書いてあるよ~みたいな一文を載せていて、なんとなく手に取ってみたのでした。
知らない人の自伝って基本的には知らないから面白くないし、知ってる人の自伝でもよっぽどのことが書いてないと面白くない。
でもこの犬養道子さん、まったく存じ上げないのにぶっとびすぎててめちゃくちゃ面白かったです。
まずアメリカに留学します。結核にかかり二年間入院することになります。暇なので病院内で事業を起こします。大金を手にします。留学生の身でありながら大金を稼ぐことはアメリカでは違法なので逮捕状が出されます。なのでヨーロッパに逃げます。入国には大使館の許可が必要なので許可が出るまで居座ります。渡航する船にまで警察が追ってくるものの、アメリカの海域を出るまで会話で圧倒し続けて逃げ切ります。
もうはじまりからめちゃくちゃ。時代が時代ならサムライソースの社長みたいにアメリカで一番有名な日本人になってたと思う。
ほかにもアメリカではスラムを散策して殺されそうになったり、ヨーロッパでは古城を再生したり、スケールが大きすぎる。
バイタリティというか、首相の血を引くものってこうじゃなきゃダメなのかとか、世の成功者たちって口を揃えて寝ている時間以外はすべて働け!みたいなことを言うけど、こういうことなんだろうな、と思いました。圧倒された。