リチャード・ブローティガンの1ヶ月半の来日の記録。来日の日々で書いた詩をまとめたもの。
タイトルは日記だけど、すべて詩。
ブローティガンといえば藤本和子さんの翻訳があってこそと思っていましたが福間さんの翻訳でもバッチリでした。詩は翻訳のスタイルが変わるのかな。
ブローティガンは幼い頃に叔父を第二次世界大戦で亡くした。子どもの頃の彼は日本を恨んでいた。瓶底メガネの出っ歯サルの日本人を恨んでいた。正義のアメリカが悪の日本をやっつけた。原発の爆発は叔父のためのバースデーケーキに差すロウソクにぴったりだった。日本人はサルだからアメリカの教育が必要だった。寛大なキリスト教徒であるアメリカ人は日本人にやりなおしの機会を与えた。日本はアメリカの子どもで、子どもを厳しく教育するのはアメリカの務めだった。日本は人間以下だったが、アメリカが人間になるように教えたおかげで人間になっていった。
こんなことが前書きに書いてある。
これがアメリカ人のリアルな日本に対する声なんだなあと思った。
こういう考えだから日本のことをナメてるんだな、と納得がいった。
前書きには続きがある。
日本に禅があることを知った。俳句があることを知った。仏教はインディアンの信仰のようなものだと思っていたがちゃんとした文明に則したものだった。サルと思っていた日本人が文明を持っていることをしった。
だからブローティガンは日本にいかなくてはならないと思い来日する。
その後の詩よりもこの前書きが強烈すぎた。
詩って短い。ページにも余白がいっぱい。だから原文も載せてくれたらよかったなあと思った。
ブローティガンは日本でいろんなものを目にする。その解説も欲しかった。彼が見た番組や映画のタイトル、見たコンサート。詩を書いた場所。
そこからどんな詩が産み出されるのか知れたらすごくよかった。
だからこそ原文を載せて欲しかった。
ブローティガンは詩人だから、これほど支持されている人の書く詩の美しさが知りたかった。
原著を買えという話ですね、はい。