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2020/03/05
洋楽誌『ロッキング・オン』の編集長を1990年から96年にわたり勤めてきた増井修さんの解雇エッセイならぬ回顧エッセイ。増井修ファンはロッキング・オンとの裁判の経緯が知りたいところだろうけど、そのあたりには触れられず。まあ、和解理由として口外できないっていうのがあるんだろうけど。で、当時の『ロッキング・オン』は10万部を超える売り上げがあって。洋楽しか扱ってない雑誌が10万部だよ? 異常。その異常な売り上げを支えていたのは、ひとえに増井さんの類いまれなる文才にあったと思うのです。本書は、そんな増井さんの類いまれなる文才が音楽という鎖に縛られずに全方向に突出。トゲトゲのパラメータが枠を振り切って脳にぶっ刺さってくる。この本は増井さんの語りを、当時増井さんと一緒に仕事をしていた起こしさんが文字に起こしたものをまとめたものなんだけど、口述筆記だろうが面白いものは関係ないよねっていう。というか口述筆記なのに当時と変わらない面白さなのがヤバイ。文体だけで人を惹きつけられる数少ない才能の持ち主のひとり。
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