ドストエフスキーの著作を読むのは『カラマーゾフの兄弟』に続き2作目。19世紀のロシア人ってみんなこんなマウント取りのクズ野郎ばっかなんでしょうか。
貧乏とか遅刻するとかそういうクズではなく人にマウントを取ることに優越感を覚えたり、人を侮辱することにこの上ない興奮を覚えるタイプの人間の芯が腐ったようなクズ。
主人公は小市民。ムカつくやつに「今日は肩をわざとぶつけてやろう」と意気込んで、1ヶ月もドキドキしながら、ぶつかる寸前で避けてしまったりして。1ヶ月経ってようやくむこうに避けさせることができて狂喜乱舞したりして。
またあるときには学生時代に気に入らなかったやつを侮辱することを思い付いて、ワクワクしながら彼の待つレストランへ駆け出していったりする。小心者の小市民。
『カラマーゾフの兄弟』とはストーリーもまったく違うんだけど、でも「『カラマーゾフの兄弟』ってこんな感じだったな」と思いました。
ストーリーは陰湿、読んでて楽しくもない。でもなにが心を惹き付けたかというと読書体験。
スリリングなシーンは時間が濁流のように流れている感覚になるし、スローモーションなシーンは時が止まったように感じる。本の世界に入り込んでしまう。そんな読書体験久しく忘れていたな。これが読書体験だよな。
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
永遠のソール・ライター ソール・ライター財団
ソール・ライターのファンなら間違いない一冊ですし、
ソール・ライターファンでなくてもなにかしらは感じられる写真だと思います
消費されない写真
写真の本質がわかっているひとの写真 …続きを見る
365daysまいにち東京 RETRIP
2年前に買って積んでました。関東近郊のプレイスポットを1日1ページ1スポット、365日で365ページ365スポットを紹介している本です。私、東京在住なんですけど、全然東京を知らなくて。この本に出てくる …続きを見る
アウシュヴィッツ収容所―写真ドキュメント
先日、ゲルハルト・リヒター展に行きまして。そこで『ビルケナウ』って新作が公開されていて。その作品が強制収容所の作品だったのですよ。
隠し撮りみたいな写真で、まさに収監者を殺そうとしてる場面で。
よ …続きを見る
ハリー・ポッターと賢者の石 J.K.ローリング, 松岡佑子
これまで一度もハリー・ポッターシリーズを読んだことも、映画を見たこともありません。でもUSJのハリー・ポッターエリアには行ってみたいなあと思って読んでみることにしました。USJを楽しむためには映画だけ …続きを見る
Return to AVALON -武内崇 Fate ART WORKS- 武内崇
Fateでお馴染み武内崇さんのFate画を集めた画集。ずーっとFateシリーズをやってたり、Fateにドはまりした人にとってはかけがえのない本なんだろうなあと思う。FGOしかやってない自分にとっては、 …続きを見る
少女・ネム 増補版 HIROSUKE KIZAKI MEMORIAL EDITION 木崎ひろすけ
数年前にマンガ編集者のトークショーに行きまして。阿佐ヶ谷ロフトA系の。そこでコミックビームの奥村編集長に「これまで出会ったなかで一番の天才漫画家は誰ですか」みたいな質問が飛びまして。奥村さんの回答が木 …続きを見る