ドストエフスキーの著作を読むのは『カラマーゾフの兄弟』に続き2作目。19世紀のロシア人ってみんなこんなマウント取りのクズ野郎ばっかなんでしょうか。
貧乏とか遅刻するとかそういうクズではなく人にマウントを取ることに優越感を覚えたり、人を侮辱することにこの上ない興奮を覚えるタイプの人間の芯が腐ったようなクズ。
主人公は小市民。ムカつくやつに「今日は肩をわざとぶつけてやろう」と意気込んで、1ヶ月もドキドキしながら、ぶつかる寸前で避けてしまったりして。1ヶ月経ってようやくむこうに避けさせることができて狂喜乱舞したりして。
またあるときには学生時代に気に入らなかったやつを侮辱することを思い付いて、ワクワクしながら彼の待つレストランへ駆け出していったりする。小心者の小市民。
『カラマーゾフの兄弟』とはストーリーもまったく違うんだけど、でも「『カラマーゾフの兄弟』ってこんな感じだったな」と思いました。
ストーリーは陰湿、読んでて楽しくもない。でもなにが心を惹き付けたかというと読書体験。
スリリングなシーンは時間が濁流のように流れている感覚になるし、スローモーションなシーンは時が止まったように感じる。本の世界に入り込んでしまう。そんな読書体験久しく忘れていたな。これが読書体験だよな。
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