SF不朽の名作
冷凍睡眠とタイムトラベル
1970年代に冷凍睡眠した男が、2000年代に目覚める話
SFって難しすぎるのが、敬遠されがちないちばんの理由だと思うんですね
2020年代に読んだからかもしれませんが、本作は想像できる範囲内のSFですごく読みやすかったです
SF初心者でも理解できる内容といいますか
1970年代の人が想像した2000年代ってこんな感じなんだなあとか、1970年の出版当時にはどんな反響が会ったんだろうとか、そんなことを思いました
例えばこれが3000年代に目覚めていたらものすごく難しい話になっていただろうなあと思います
で、私は本作を読みながら、「もっと話がこういうふうに転がってくれたらいいのにな」と思ったりしたんですが、
SF好きの人も同じ考えだったりするのでしょうか
「なんだよタイムトラベルかよ」とか「『夏への扉』感をもっとくれよ」とか
タイトルと最初の章だけ読むと「夏に続く扉を探す話なんだろうな」って思ったんですよ
苦労して開けた扉が地獄に続いていたり、
宇宙に続いていたり、
お花畑に続いていたり、
そうしたなかで、概念的な「夏」に続く扉を探し当てるのかな、って思ったんです
でも、それが意外とミニマムな世界で終わっちゃったなあ~~という感じがありまして
昔のSFってあまり読まない方が良いのかな
SFもやっぱり進化し続けるジャンルで、やっぱりフィクションだから
どうしても名作の種はいろんな作品に転用されてしまうし、それがこの「夏への扉」の世界をミニマムに感じてしまった原因かな、と思って
たぶん当時は冷凍睡眠&タイムトラベルってなかったから不朽の名作になったんだと思いますし
でもテッド・チャンはすごく面白かったしなあ
そんなことを思いました