村上春樹のオススメ本シリーズ
アルゼンチンのバジェホスという町の1933年から1948年の記録。群像劇。
ある家庭では子供が生まれ15歳になり、ある家庭では女の子が結婚し、ある者は都市に行き、ある者はこの町に帰ってくる。
文すべてが登場人物の会話、独白、日記で構成されており、第三者目線の文は登場しない。
それも一章がまるまる会話、一章がまるまる日記、という形式。
しかも会話の章では5人くらいの人物が登場し、発声した順に記載されているものだから、誰がなにを言っているのかわからない。
例えばこんな具合
「おじいさん、鶏を締めるなら言ってよ」
「あの映画はあの子の好みだろうね」
「このテーブルクロスきれいね」
「鶏を締めるところを見るのが嫌いかと思ってね」
「これ縫うの大変だったのよ」
みたいな、Aグループと、その近くにいるBグループの会話が並列に記載されているような感じ。
でもこの雑多な感じがその町の生活をトレースしているようで楽しい。
ファミレスで交わされるすべての会話が可視化されているようなイメージ。
この小説にはドラマチックな出来事もエンターテイメントも存在しない。
あるのは1930年代に暮らした人々の生活だけ。それぞれの語り口からそれぞれの立場を想像しそれぞれの生活やアルゼンチンの風土を読み解いていく、感じる小説。
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
form l code 村田蓮爾第三画集 村田蓮爾
笑っちゃうくらいデカいですね。置き場に困るほど。
リングノートみたいに、輪で閉じてある画集です。特殊な構造だから本にダメージを与えずに読むのがすごく難しいです。
定価は1万円超だけど、内容的に …続きを見る
フレームアームズ・ガール デザイナーズノート 島田フミカネ
プラモ屋に行くとおいてある、かわいい装甲女の子がパッケージに描いてあるの、ありますよね
フレームアームズ・ガールというシリーズもので、そのパッケージ画像と、開発者インタビューをまとめた本です
…続きを見る
私は今、旅をしています。 さけハラス
さけハラスさんの商業初画集。日本の観光名所に行って、その風景と、オリジナルの少女のイラストを合体させる、っていう感じの画集です。
で、絵だけでストーリーを想起させる説得力があるのに、今回の画集に書き …続きを見る
令和元年のテロリズム 磯部涼
「川崎市中1男子生徒殺害事件」をきっかけに川崎の不良や在日といった暗部と、そこから這い上がり連帯する人々を描いた「ルポ川崎」の著者・磯部涼が、登戸の殺傷事件、それに触発された元農林水産省事務次官による …続きを見る
From Tokyo わたしの#stayhome日記2022-2023 今日マチ子
コロナ禍の日々を切り取った、今日マチ子さんの作品集の第3弾。
2022年から2023年の4月まで。
2023年6月現在、コロナはまだ日常に残っていますね。
街中では、マスクをつけている人6割 …続きを見る