ドストエフスキーの著作を読むのは『カラマーゾフの兄弟』に続き2作目。19世紀のロシア人ってみんなこんなマウント取りのクズ野郎ばっかなんでしょうか。
貧乏とか遅刻するとかそういうクズではなく人にマウントを取ることに優越感を覚えたり、人を侮辱することにこの上ない興奮を覚えるタイプの人間の芯が腐ったようなクズ。
主人公は小市民。ムカつくやつに「今日は肩をわざとぶつけてやろう」と意気込んで、1ヶ月もドキドキしながら、ぶつかる寸前で避けてしまったりして。1ヶ月経ってようやくむこうに避けさせることができて狂喜乱舞したりして。
またあるときには学生時代に気に入らなかったやつを侮辱することを思い付いて、ワクワクしながら彼の待つレストランへ駆け出していったりする。小心者の小市民。
『カラマーゾフの兄弟』とはストーリーもまったく違うんだけど、でも「『カラマーゾフの兄弟』ってこんな感じだったな」と思いました。
ストーリーは陰湿、読んでて楽しくもない。でもなにが心を惹き付けたかというと読書体験。
スリリングなシーンは時間が濁流のように流れている感覚になるし、スローモーションなシーンは時が止まったように感じる。本の世界に入り込んでしまう。そんな読書体験久しく忘れていました。これぞ読書体験。
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
窓ぎわのトットちゃん 黒柳徹子
日本で一番売れた本ですね。(800万部。ノルウェイの森は日本で250万部、世界で1200万部です)
どんな内容かまったく知らなくて、「黒柳徹子さんの幼少期のことが書かれているんだろうなー」くらいで読 …続きを見る
影との戦い ゲド戦記 アーシュラ・K.ル=グウィン, 清水真砂子
読んだ第一印象としては「ハリポタみたいだなあ」でした
もちろんこっちのほうが古いんだけどね
『ゲド戦記』といえば日本ではジブリの映画が有名で、その映画がつまらないことも有名で、それと同時に語られる …続きを見る
HERE ヒア リチャード・マグワイア
『バーナード嬢曰く。』という読書マンガがありまして。作者がSF読みだからSFの本ばかり紹介されるんですけど、このリチャード・マグワイアの『HERE』は絵本みたいで読みやすい、とのことだったので挑戦して …続きを見る
ソンブレロ落下す―ある日本小説 リチャード・ブローティガン, 藤本和子
アメリカ人のユーモア作家と日本人女性との恋を描いた小説。アメリカ人のユーモア作家というのはおそらくブローティガン本人で、ここに書かれていることも大部分が本当なのでしょう。
めちゃくちゃエロいです …続きを見る
パルプ・ノンフィクション: 出版社つぶれるかもしれない日記 三島邦弘
益田ミリさんとかアジカンのゴッチとかいい人のいい本をいっぱい出しているミシマ社の社長のミシマさんが出版業界に対する危機感や自社の火の車っぷりを書いた本
なにかに連載されたものではなく、ほぼ書き下 …続きを見る
日本ロングトレイルガイドブック JAPAN LONGTRAIL GUIDEBOOK ロングトレイル協議会推薦ガイドブック 山と溪谷社アウトドア出版部
点数をつけるなら80点だけどトレイルに対する知識がなさすぎるので暫定で
先日読んだグランマ・ゲイトウッドの本に完全に触発されて、山を歩きたい! と思って読んでみました
日本にもいっぱいロン …続きを見る
殺さない彼と死なない彼女 世紀末
もともとはツイッターで話題になった漫画。それを単行本のために全部リライトして、大幅に加筆して『作品』として形にしたのがこの本です。
ツイッターで流れてくるマンガの一部や、この本のタイトルや表紙の雰囲 …続きを見る
Essential わたしの#stayhome日記 2021-2022 今日マチ子
描くことは祈り
2020年4月の緊急事態宣言以降、ソーシャルディスタンスが当たり前になっていく人々の様子、街の様子を、丁寧に、静かに描き続けている今日マチ子さん。
2021年4月ー20 …続きを見る