村上春樹のオススメ本シリーズ。
とんでもなく面白かったですねえ。
日記、エッセイ、空想、小説……小説?
小説なの?
詩人であるブローティガンの文章は幻想的だ。
また、日本人にはできない言葉の使い方をする。
ただこれは、訳者の藤本和子さんの力に依るところも大きいらしい。
--時として原文以上とも評されたその清新な訳文は、日本における翻訳文学の系譜の上で重要なものである(Wikipediaより)
でも、ブローティガンの言語感覚は日本人は持ち合わせていない。
--いちばん強く羊の匂いを発したのは、陽ざしだった。太陽が雲に隠れると、老人の補聴器を足で踏みつけたみたいに、羊の匂いは弱まった。(本書内 パラダイス より)
こんな文章が際限なく続く。
こんな喩え出るかね! すごいよ! の連続。
日本のメジャーな小説って、とても親切だと思う。日常を顕微鏡で拡大しているかのような、科学的な描写。
ブローティガンは日常を目視して印象画を描いているような、感覚的な小説。
小説ってもっとなんか、感覚的でいいんだなと思った。
というか、モロ村上春樹だった。
村上春樹の新刊です、と言われてこの本を渡されても違和感なく読んでいたと思う。
60年代に大流行したのがわかるというか、魅了されてしまうわけだと思った。
でもブローティガンに影響されすぎると村上春樹と同じ文体になってしまうんだな。難しい。
余談ですけど、RADWIMPSの野田洋次郎ってなんであんな歌詞書けるんだろうなと思っていたんですけど、あれってアメリカの言語感覚だったんですね。
この本を読んでに腑に落ちました。