/
2023/12/06
なぜヨーロッパ人が世界中の地域を支配できて、アジア諸国やアメリカの原住民がヨーロッパを支配するようなことは起きなかったのか、という人類史の疑問を紐解いていく本です。人類学だけでなく、社会学、地形学、言語学、農学、さまざまな観点から人類はどのように発展してきたのかを検証していきます。
すごい本だという噂は聞いていましたけれども、予想以上でした。
プロローグの時点で面白すぎて一気読み。
簡単に述べると、ユーラシア大陸は動物にも植物にも恵まれてて、それがヨーロッパ人の支配に繋がっていく、というお話。
ユーラシア大陸には小麦のような栄養価の高い植物が自生していたんだけれども、いま私たちが食べている小麦って特別変異種なんです。人間に有用な品種に変異したものが食べられている。
アーモンドとかも、原生種は毒が入っていて、それが特別変異で毒のないものかできて今も食べられている。
そういうのを読むと、新しい食べ物を産み出したくなりますね。ドングリ(オーク)って縄文時代から食べられているものですけど、いまだに農作物化はできていなくて。それはオークの成長には時間がかかりすぎるとかいろんな理由があって。じゃあ成長がめちゃくちゃ早いオーク作ってみたいな、とか、まだ食用になっていない植物も大量に育てて変異種作れないかなとか、学びがあると同時にロマンも広がる、すごくいい本でした。
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
日本中世に何が起きたか 都市と宗教と「資本主義」 網野善彦
中世史の学者、というよりも当時の論壇のスター的存在になっていた網野善彦の論考や講演集。いずれも1980年から90年代半ばにかけてのもので、この本は1997年に出たから、ベストセラーになった1978年の …続きを見る
夜と霧 ヴィクトール・E・フランクル, 池田香代子
アウシュビッツに送られた精神科医が、アウシュビッツという場での人々がどういうふうに精神に異常をきたし、どのような過酷な目に遭い、どのように生き延びてきたかを綴った本
アウシュビッツからの生還者の …続きを見る
ILLUSTRATION 2020 平泉康児
ここ何年かのイラストレーションは萌え絵ばっかりで構成されていて、とても表現の幅が狭くてつまらない本になっていたんだけど、これは素晴らしいよ! 初期のイラストレーションが戻ってきた感じ!
これから旬を …続きを見る
古文書返却の旅――戦後史学史の一齣 網野善彦
著者は日本中世史の学者・網野善彦。といっても、日本史学の本流である政治史ではなく、中世から近世にかけての漁民や流通に従事した名もなき人々や、寺社の清掃や牛馬を扱う人々などを研究していた、言ってみれば異 …続きを見る
ILLUSTRATION 2018 平泉康児
もう完全に新人さんオンリーの本になりましたね。
その方が健全だし、日本のイラストレーターの未来といいう意味においても重要ですよね。
ただ、新人を発掘する能力がこのころは身についていなかったのか、掲 …続きを見る
20世紀エディトリアル・オデッセイ: 時代を創った雑誌たち 赤田祐一, ばるぼら
時代を作った雑誌たち、ということでホール・アース・カタログからはじまり、それが日本に来ていろんな雑誌に影響を与え、宝島やポパイ、アンアンなどがはじまり……という、日本における雑誌のはじまりの歴史
…続きを見る