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2022/09/22
カルーセル麻紀の青春時代を描いた「緋の河」の続編となる小説。大胆な虚構を構築したであろう前作と比べると、今作は華々しいデビューを飾ってからのゲイボーイの伝記というか、どうしても実在の人物の行動録みたいになってしまい、小説らしい虚構に欠ける感じもする。物語の舞台が虚構そのもののような芸能界だからかもしれない。冒頭、モロッコでの性転換手術が失敗しかけるあたりも生々しく、読み辛かった。クセのあるマネージャーや東京の芸能界と地方のショーパブ営業がまだ密接だった頃の景気のいい様子、藤圭子のような女性歌手も出てきて面白いが、登場人物たちの行動が説明臭く感じるところもあった。とはいえ、昭和の時代にこのようなマイノリティとしての生き様をメディアを通じて見せつけてきた苦悩や葛藤、そしてそういう環境で闘い、生き続けるしかないという、バイタリティ溢れる主人公の生き様は本当なのだろう。モデルとなった主人公の存命中にこのような小説が生まれてきてよかったと思う。
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