/
2021/10/29
多くの人が「面白かった小説」として挙げる『すべてがFになる』を読みました。すごい面白いんだけど、西尾維新のほうが面白いなあーと思ってしまった。
これは、森さんが理系の人だからだと思う。
すごく面白かったし、加点法で点数をつけたいんだけど、どうしてもひっかかるところがいくつかあった。
森さんの小説は、登場人物がロジカルすぎて、心がないみたいだった。少なくとも、心の機微はなかった。
だから登場人物に人間的魅力が欠けていたし、行動にも性格が表れていなかった。セリフ回しや描写も素晴らしいとは言えるものではなかった。平たく言えば、わかりにくかった。殺人事件のフックのみで引っ張っていったようなものだった。
森さんは、(理系の)殺人事件が書きたかったから、殺人事件を書いたのだと思う。
西尾維新は、小説が書きたかったから、小説を書いた。たまたま題材が殺人事件だった。
この差は大きい。『すべてがFになる』は、小説の形をした論文だ。
だから、西尾維新のほうが面白いなあーと思うとともに、自分が日本語の美しさを感じられる人間でよかった、と思いました。
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
日本ロングトレイルガイドブック JAPAN LONGTRAIL GUIDEBOOK ロングトレイル協議会推薦ガイドブック 山と溪谷社アウトドア出版部
点数をつけるなら80点だけどトレイルに対する知識がなさすぎるので暫定で
先日読んだグランマ・ゲイトウッドの本に完全に触発されて、山を歩きたい! と思って読んでみました
日本にもいっぱいロン …続きを見る
流転7年うめだまのイギリス・アメリカ自由帳 うめだまりこ
前作は観光客で今作は当事者。
海外に旅行に行った人からは、「海外に差別なんてない」という意見を聞くけど、実際に住んでみるとどんな国にも差別があることを知る。
前作って「イギリスって素敵!」とい …続きを見る
ユリイカ 2021年6月号 特集=レイ・ハラカミ -『unrest』『opa*q』『red crub』から『lust』、『暗やみの色』まで…没後10年- ユリイカ, レイ・ハラカミ
レイ・ハラカミ没後10年に際しユリイカで特集が組まれました。レイ・ハラカミの資料ってほとんど残っていなくてすごくありがたい。よくぞやってくれたという気持ち。
レイ・ハラカミを知る方々の証言はもちろん …続きを見る
証言モーヲタ ~彼らが熱く狂っていた時代~ 吉田豪
いまから約20年前のモーニング娘。全盛期のオタクたちのインタビューまとめ本
劔樹人や宇多丸といった業界人からサムライ、ピストルといった一般トップオタまで幅広くインタビュー
モーニング娘。全 …続きを見る
ポップス歌手の耐えられない軽さ 桑田佳祐
はじめて桑田佳祐の書く文章を読みました
桑田佳祐ほどの大物なら語り起こしかライターが書いた文章だろうな、と思っていたらガチで桑田佳祐さま御本人が執筆されていることを奥様が証言されていてびっくりしまし …続きを見る
日本の乗用車図鑑1986-1991 自動車史料保存委員会
またもすべてモノクロ写真
1986年、普通にカラー写真あっただろ……
カラーで出し直してくれ… …続きを見る