/
2025/01/17
アウシュビッツに送られた精神科医が、アウシュビッツという場での人々がどういうふうに精神に異常をきたし、どのような過酷な目に遭い、どのように生き延びてきたかを綴った本
アウシュビッツからの生還者の本はたぶんいっぱいあるんでしょう
著者は精神科医という立場から、囚人と看守のパワーバランスを見抜き、いかにラクなポジションにつき、いかに看守の罰を受けないところにいき生き延びてきたかを描いています
例えば集団で移動するとき、一番うしろにいるとドイツ人からムチを振るわれる
だから先頭の、囚人のリーダーの近くにポジションを取る
看守のご機嫌取りを怠らなければ理不尽な暴力から逃れる可能性が1%でも上がる
理不尽な暴力は身体に傷を作り、粗悪な環境で傷口が悪化すればそこから簡単に死に至る
そうして強制収容所内を生き延びていき、収容所内の医師の地位を得る
だからこそ多くの同胞の死を看取り、多くの理不尽な犠牲を見てきた
アウシュビッツは常に生と死が紙一重で、
別の道を選んでいればガス室送りになっていたり、
タイミングがずれていれば銃撃の餌食に遭っていたり、
このひとが生還したことやアウシュビッツの状態を後世に伝えられていることは奇跡なんじゃないかと思ったり
そんな奇跡を読むことは後世の使命じゃないかと思ったり
アウシュビッツには生還者の数だけ物語がある
ひとつでも多くの証言を聞くことが、我々にできる唯一のことではないだろうか
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
夏への扉 ロバート・A・ハインライン, 福島正実
SF不朽の名作
冷凍睡眠とタイムトラベル
1970年代に冷凍睡眠した男が、2000年代に目覚める話
SFって難しすぎるのが、敬遠されがちないちばんの理由だと思うんですね
2020年代に読ん …続きを見る
ちびまる子ちゃん展 図録 さくらももこ
2年前くらいに銀座松屋で行われたちびまる子ちゃん展の図録です。この時期めちゃくちゃ仕事が忙しかったので、展示を見ずにグッズだけ買いに行きました。展示見なくてもグッズ買えるの、好き。
あまり表に出てい …続きを見る
色街百景: 定本・赤線跡を歩く 木村聡
長年にわたって日本全国の色街を訪ね歩いてきた著者が撮り溜めてきた色街の写真集。説明するまでもなく色街とは男性に性風俗を供給する女性たちがいた、売買春が行われてきた地域だ。戦後、いちおう法律で禁止される …続きを見る
Casa BRUTUS特別編集 アンディ・ウォーホルの基礎知識。 Casa BRUTUS
アンディ・ウォーホルの人となりをまったく知らなかったので買ってみました
まったくわかりませんでした
アンディ・ウォーホルは素を誰にも明かしたことがない、ということがわかりました
彼はずっとア …続きを見る
フランス車大図鑑 CAR GRAPHIC
この世には、存在しているだけでいい本というものがあります
フランスの大衆自動車の写真とレビューをまとめたもの
プジョー、シトロエン、ルノーといったフランスを代表するメーカーはもちろん、ファセル …続きを見る
ロッキング・オン・ジャパン 2024年 07 月号 ROCKIN'ON JAPAN
小柳さんのインタビューが読めることって幸せですよ
Adoという、情報のとっかかりが歌しかない人に対して、
ここまで深いことが訊けるんだというか……神がかり的なインタビューというか……
Ado …続きを見る
すべてがFになる THE PERFECT INSIDER S&Mシリーズ 森博嗣
多くの人が「面白かった小説」として挙げる『すべてがFになる』を読みました。すごい面白いんだけど、西尾維新のほうが面白いなあーと思ってしまった。
これは、森さんが理系の人だからだと思う。
すごく面白 …続きを見る