東京大学の教授を務め、日本で始めて貝塚を発見し、その後の日本の教育に多大なる影響を与えたモースさんの日本でのスケッチ&日記集
終始、「日本人はすばらしい」と日本や日本人の美徳を褒め称えている
最近書店やテレビによくある、日本人ウケを狙ったホルホル本ではなく、
モースさんの個人的な日記に書いたものだから、本心から出た感情だし嬉しいよね
モースさんは絵の名手で、江戸幕府が終わって10年そこそこの、まだ江戸時代の生活がそこらじゅうに残っている日本を絵で記録してくれている
人力車が主な移動手段だったんだなとか、当時のお店の看板はこんなんだったんだなとか、
令和でも残る古い趣のお店は明治時代から変わっていないんだなとか、
日本人が知らない日本がいっぱい
当時の風景、建築、観光名所、旅路、日本人の気質、買い物事情、なんでも載っています
男も女もみんなハダカだらけだったとか、
日本の赤ちゃんはぜんぜん泣かないとか、
モースさんの目には異文化だらけだったでしょうし、異文化だらけだからこそ詳細に日記に残してくれたんでしょうね
この『日本その日その日』、
1冊の文庫にまとめたものはモースさんのスケッチが大きく省かれているらしいので、
この3冊版をオススメします
このモースさんの日本日記はモースさんのアメリカの友人の間でも話題となり、
友人から「貝みたいないつでも誰でもできる研究を進めるより、どんどん近代化していってしまうオリエンタルで奇妙な国を一刻でも早く世に広めろ!」と言われて
本書を出版する、というのもいい話
訳者の石川欣一さんはモースさんが東京で教えていた生徒さんの子どもで
そういった必然的な関係から生まれた本というのも美しいです