/
2021/10/29
日本三大奇書のひとつ、ドグラ・マグラです。三大奇書なんて言われるくらいだから、どんなに読みにくくて気持ち悪い本なんだろうと思って読み進めていったら面白すぎて止まらない。
文体のリズム、一言一句に至るまで読んでいて、頭の中で文章を音読してみて気持ちがいい。一文字一文字の細部にまで心配りが行き渡っている、素晴らしい文章。さすが校正に10年を要しただけはあるなーと面白いなーと思いながら読み進めていました。どこが奇書なんだ、最高じゃないかとか思いながら。
で、ラストに至ったら、頭の中が「?」でいっぱいになって。さっきまで面白い面白いって思いながら読んでいたものって一体なんだったんだろうって。つまらなくなったとかじゃなく、今まで読んできたものを完全に忘れてしまって。狐につままれたというか、催眠術をかけられていたというか。なにを読んでいたのか思い出せない。面白かった記憶だけある。なんだこれー?
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
いのうえの 満月篇 三日月篇 井上雄彦
2008年に行われた「井上雄彦最後のマンガ展」の図録。先日の井上雄彦本を読んで、井上雄彦熱が高まったのでメルカリで購入。メルカリは便利だ。出品のハードルが低いから、これまで埋もれていた商品がいっぱいで …続きを見る
anna magazine vol.12 2018年12 月号 anna magazine
「女性のファッションとライフスタイル」がテーマだと表紙には書いてあるんですが、アメリカの風景写真とほんの少しのショップ紹介しかありません。
この本の魅力は、なにも脚色もしてない素のままのアメリカがそ …続きを見る
ILLUSTRATION 2017 平泉康児
前号の2016で「新人を発掘し始めた」って書いたんですけど、この年は思いっきり新人ばっかりですね。2013年の号は絵画だったり、イラストだったり、チープアートだったり、その界隈で伝説級の人ばかりが載っ …続きを見る
ILLUSTRATION 2018 平泉康児
もう完全に新人さんオンリーの本になりましたね。
その方が健全だし、日本のイラストレーターの未来といいう意味においても重要ですよね。
ただ、新人を発掘する能力がこのころは身についていなかったのか、掲 …続きを見る
歴史の中で語られてこなかったこと おんな・子供・老人からの「日本史」 網野善彦
歴史学者・網野善彦の晩年の対談集。民俗学者の宮田登との3度にわたる対談を収録している。原著は1998年に出たもので、2012年に新書、2020年に文庫として3度も刊行されているところを見ると、根強い読 …続きを見る
ニッケルオデオン 赤 道満晴明
道満晴明は唯一無二である。そして天才である。異論は認めない。彼が紡ぎ出すこのショートショートの世界は誰にも真似できない。胸キュンもシュールもBLもキチガイもグロもユーモアも全てが詰まった8ページ13編 …続きを見る
GHQカメラマンが撮った戦後ニッポン ディミトリー・ボリア
僕たち私たち読書好きってのは、年に一冊出会えるかどうかっていうとてつもなく素晴らしい本との出会いが忘れられなくていまだに本を読み続けていると思うんですけど、この本がそれでした。とてつもなく素晴らしい。 …続きを見る