直木賞受賞作ということで読んでみたが、全体的に読みづらい文章だった。ところどころで偏見や差別、時代の荒波といった逆境を乗り越えようとする登場人物の熱のこもった描写も出てくるのだが、文献史料を丹念に調べて描いたんだろうなと、透けて見えてくるような感じだった。
樺太や極東ロシアを舞台に、文明とは、祖国、領土、民族、言語とは何かといった、19世紀から20世紀に勃興した帝国主義に翻弄される人々を描いているが、登場人物よりも著者そのものの奮闘ぶりが目についてしまう。終盤を読み進めている頃に文藝春秋の特設サイトをみたら、紙の登場人物紹介には載っていない大隈重信やレーニンについての記述があった。終盤までがネタバレしているのは興ざめする。無理やり直木賞に仕立て上げた印象が残る。
コレラや天然痘、結核などで次々と登場人物が亡くなっていく陰鬱な描写が出てくるが、史実に基づいている以上、実際に北海道などで明治時代に起こったことなのだろう。新型コロナウイルスに襲われた2020年を先取りしているような感じがあった。
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