直木賞受賞作ということで読んでみたが、全体的に読みづらい文章だった。ところどころで偏見や差別、時代の荒波といった逆境を乗り越えようとする登場人物の熱のこもった描写も出てくるのだが、文献史料を丹念に調べて描いたんだろうなと、透けて見えてくるような感じだった。
樺太や極東ロシアを舞台に、文明とは、祖国、領土、民族、言語とは何かといった、19世紀から20世紀に勃興した帝国主義に翻弄される人々を描いているが、登場人物よりも著者そのものの奮闘ぶりが目についてしまう。終盤を読み進めている頃に文藝春秋の特設サイトをみたら、紙の登場人物紹介には載っていない大隈重信やレーニンについての記述があった。終盤までがネタバレしているのは興ざめする。無理やり直木賞に仕立て上げた印象が残る。
コレラや天然痘、結核などで次々と登場人物が亡くなっていく陰鬱な描写が出てくるが、史実に基づいている以上、実際に北海道などで明治時代に起こったことなのだろう。新型コロナウイルスに襲われた2020年を先取りしているような感じがあった。
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
ゴッホ作品集 フィンセント・ファン・ゴッホ, 冨田章
先日、東京都美術館で行われていたゴッホ展に行きまして、ゴッホがぶっ刺さりまして購入しました。
やはり本になってしまうと、生の絵のインクの盛り上がりが見えなくなるのが残念ですね。
画集の作品と生の絵 …続きを見る
占領下の女性たち 日本と満洲の性暴力・性売買・「親密な交際」 平井和子
先日読んだ『占領と性』にめちゃくちゃ打ちのめされまして
あの本は「研究の半ば」ということを書かれていて、その後の研究はどうなったんだろうと『占領と性』を書かれた恵泉女学園大学平和文化研究所を調べても …続きを見る
[re futurhythm] 村田蓮爾
村田蓮爾2冊目の画集『futurhythm』の新装丁版。
読みながら、GANTZスーツって村田蓮爾さんの影響受けてるんじゃないかなあと思いました。
めちゃめちゃ分厚くていい紙を使っていて、それ …続きを見る
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス, 小尾芙佐
日本でも大ヒットして、ドラマ化もされましたね
とにかく泣けるって情報だけ知ってて、アルジャーノンって女の子が死ぬ話なのかなって思ってました
めちゃくちゃおもしろかったです
面白かった本に …続きを見る
GOOD GIRL magazine YUKI
YUKIちゃんの2021年のライブツアー「terminal G」会場限定写真集です。これまでのYUKIちゃんの写真集は長らく半澤健さんが担当されていて、前回のツアーの写真集でクマガイユミさんという方が …続きを見る
waneella ピクセルアート集 追憶の風景 waneella
waneellaさんがクラウドファンディングのリターンに画集を出されていて。
もちろん僕もそのクラウドファンディングを支援していて、リターンで箱入りの素晴らしい画集をいただきました
ただ、解説 …続きを見る
グッバイ・ハロー・ワールド 北村みなみ
先日、北村みなみさんの画集を読んで、すっごい哲学あるなと思ってマンガも購入しました。
「WIRED」で連載されていたSFマンガ。
北村みなみさんにとってほぼ人生初のマンガらしい。
めっちゃ面白す …続きを見る