村上春樹のオススメ本シリーズ
アルゼンチンのバジェホスという町の1933年から1948年の記録。群像劇。
ある家庭では子供が生まれ15歳になり、ある家庭では女の子が結婚し、ある者は都市に行き、ある者はこの町に帰ってくる。
文すべてが登場人物の会話、独白、日記で構成されており、第三者目線の文は登場しない。
それも一章がまるまる会話、一章がまるまる日記、という形式。
しかも会話の章では5人くらいの人物が登場し、発声した順に記載されているものだから、誰がなにを言っているのかわからない。
例えばこんな具合
「おじいさん、鶏を締めるなら言ってよ」
「あの映画はあの子の好みだろうね」
「このテーブルクロスきれいね」
「鶏を締めるところを見るのが嫌いかと思ってね」
「これ縫うの大変だったのよ」
みたいな、Aグループと、その近くにいるBグループの会話が並列に記載されているような感じ。
でもこの雑多な感じがその町の生活をトレースしているようで楽しい。
ファミレスで交わされるすべての会話が可視化されているようなイメージ。
この小説にはドラマチックな出来事もエンターテイメントも存在しない。
あるのは1930年代に暮らした人々の生活だけ。それぞれの語り口からそれぞれの立場を想像しそれぞれの生活やアルゼンチンの風土を読み解いていく、感じる小説。
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