ネットで世界中の人に文章を読んでもらうことのできる現代だからこそ、1~2万部の紙の本を年に数冊作って小さく生きていく方法もありますよ、という本
スター編集者になるための方法論ではない、どこにでもいる編集者になるための本
こういう本っていままでなかった
10人ほどのいろんな種類のスター編集者をそれぞれ招いてワークショップを行い、どうやって本を作るか、ミスったときはどうするか、どうやって企画を出すか、といった質問がまとめられています
具体的な企画書の書き方、損益分岐点、作家への契約書の雛形など、ふつうは社外秘にするようなものがふんだんに載っている
損益分岐点はここだからここまで予算をかけて…だけどこの本は最悪売れなくてもいいから思いっきり予算をかけて……みたいな話もある
いい本を作れば売れるという夢物語ではなく、赤字を出してもトータルでトントン、ちょいプラスにするためのサバイバル術
この本が教えてくれるのは、本を意図的にバズらせるために好きな書評家に本を送り付けたり、作家を口説き落とすために手紙をしたためたり、影の努力なくしてヒットはないんだな、ということ
意図的にバズらせる、というのは目からウロコだったな
こういう行為って邪道というか、恥ずかしいと思ってしまう
でも作家は本が売れないと生活に困るわけで、ひとり出版社ならもっと困るわけです
ならどんな手を使ってでも読者にリーチしていくほうがいい
出版社務めだと日々の忙しさに忙殺されてこういうところがおざなりになってしまう
だけどこういうことをしないとだめだな、
いつまでも作家の原稿を待っているだけじゃダメだなと思いました
編集者にとってはこの上ない自己啓発本