江戸時代末期、高知県の山間部の農村を舞台に、狗神憑きとみられる集団ヒステリーが起きた。踊り狂うのは、いずれも貧しい小作人ばかり。その狂乱の推移が村の娘みつと庄屋の老旦那、そして派遣された武士たちの目線で描かれるミステリー、ホラーといった小説だ。狂乱の原因とされたのは狗神憑きだったと言われるが、憑かれた者たちは途中から狸が憑いていると言い出したり、結局のところはなんだったのか最後までわからない。だが江戸幕府が200年以上続いたにも関わらず、農村の人々が貧しいまま、土地に縛り付けられていたことが事件の一因になっていたのではないかと、国学者平田篤胤を慕う下級武士を通じて作者は語っている。というのも、信じられないようなこの事件は、実際に土佐の山中で起きており、それが複数の史料に書かれていると作者ははじめに書いており、その事件がなぜ起きたのか、作家ならではの想像力、飛躍力をもって当時の事件を再構築しているのだ。農民の貧しい暮らしぶりや、決まった時刻に毎日集団で狂い出す様などが写実的で、庄屋や下級武士たちの苦悩も今とそんなに変わらない。小作人たちが餓死するほどの飢饉が、米がほとんど穫れない山中の村にまで及んでおり、その劣悪な暮らしから逃れようとしたり、一揆を起こしたり、果ては尊皇攘夷思想が階級を問わず広がっていく様子が描かれる。狗神憑きや村八分、俗信や噂に満ちた山村でありながら、明治維新後、土佐出身の自由民権運動理論家・植木枝盛は同じ土地を「自由は土佐の山間より出づ」と讃えた。そうした時代の転換期に起きた、「ええじゃないか」の乱舞にも通じるような事件を描写した小説だ。
ヨシタケシンスケさんのイラスト集。この本が発売されたのは2016年だけど、中で載っているのは2000年頃のイラスト。時系列だと、この本に載っているイラストが一番古いです。自費出版で冊子にしていたのをま …続きを見る
テレビ朝日の弘中綾香アナウンサーのフォトブックというか写真集です。写真集にインタビューが6ページほどついているので「フォトブック」としたと思うんですけど、世にあるフォトブックのほとんどは駄作というイメ …続きを見る
19(ジューク)世代です。19に憧れてアコースティックギターを買った身です。19がいちばん載っている雑誌がこのGo!Go! GUITARでした。はじめて弾いた曲は以心伝心でした。Fの壁が越えられずアル …続きを見る
アメリカ人のユーモア作家と日本人女性との恋を描いた小説。アメリカ人のユーモア作家というのはおそらくブローティガン本人で、ここに書かれていることも大部分が本当なのでしょう。
めちゃくちゃエロいです …続きを見る
先日、ゲルハルト・リヒター展に行きまして。そこで『ビルケナウ』って新作が公開されていて。その作品が強制収容所の作品だったのですよ。
隠し撮りみたいな写真で、まさに収監者を殺そうとしてる場面で。
よ …続きを見る