日本語ラップアーティスト15名に、日本語でラップすることについてそれぞれ10000字ほどのインタビューが載っている本です
最近、ラッパーのYouTubeにKダブシャインがゲストで出ることが多くて、キングギドラの秘話とかを語ったりしていて。コメント欄に「『ラップのことば』って本にこの辺の話書いてあるよ」って意見している人がいて、読んでみるかあと思って読んでみました。
1万字って少ないね。その人のラップの目覚めから訊いてるから10000字では浅いところまでしかたどり着かない。それなのに「新作の詩はいい」みたいなリリースインタビューみたいな内容に帰結しているのがよくない。
『ラップのことば』ってタイトルからは、この人はここにアクセントを置いて、こういう意図があって、日本語ならではの面白みをこの部分に出して…みたいな専門的な話が訊けると思うじゃん。「このアルバムのテーマは?」とか…もう違う!そんなんが知りたいんじゃない!
『雨』という単語を発声ひとつでどしゃ降りなのかしとしとなのかを表現するために義太夫節を勉強した、と語っていたいとうせいこうのインタビューしかこのタイトルに叶うものはなかった。
各アーティストをそれぞれ何度かインタビューしたことのある関係性のある人がインタビューしていて、それがいちばんよくないとおもった。
だから「このアルバムのテーマは?」みたいなインタビューになってしまう。
言語学者みたいな人が、「この単語をここに置くことによってこういう意味が出てくる、これが日本語ラップの面白いところだ」みたいなインタビューをアーティストにしてくれてたらタイトルに沿う本になっていたと思う。
ただのアーティストの簡単なプロフィール本でしかない。残念。