前作『結ぼれ』は主に2人の会話から成っている作品でしたが、本作はモノローグ、ダイアローグ、そして詩から成っています。
その詩の訳が韻を踏みまくっているので、元の本も韻を踏みまくった詩になっているんでしょう。
原文を読みたい。
元題の『do you love me?』を『好き?好き?大好き?』と訳したのは発明ですよね。
『結ぼれ』は言語化しにくいふわっとした心理を描いた作品だったけど、『好き?好き?大好き?』は言葉の曖昧さ、言葉の脆さ、言葉から伝わる情報の多さを描いています。
いくら『好き好き大好き』って口で言うだけなら誰にだってできるし。不倫してても浮気してても言えるし。でも言い方ひとつで「こいつ本心で言ってないな」ってわかるし。
だからこの本は登場人物がどんな本心でセリフを言っているのか、という軽いミステリーみたいな構成になっているんですね。
にゃるらさんが『needy girl overdose』でこの本を参考にしたっていうエピソードも、vtuberが配信でリスナーにいくら『好き好き大好き』って言っても金のためってことを皮肉った部分もあるんだろうなあとか、そういうことを思いました。
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