一見円満に見える家庭の主婦が夫を刺した。動機はなぜか…といった話が登場人物の視点を変えて考察されていく。そして明らかになる家庭内のモラルハラスメント…といった内容。
刺された夫の同僚や母親、娘、事件を捜査する警官などからの視点で家族の暗部を浮き彫りにしていくのだが、それらの人物の家族構成や家族に対する考えまで露わにされて、少し鬱陶しい。また、いかに刺した母親が献身的だったか、刺された父親がモラハラだったかという点が明らかになっていくのだが、パチンコ屋で財をなした父母に溺愛されて育った、それゆえに金銭的には裕福だが他人を思いやる気持ちがなく吝嗇だというのは、事実としてそうである傾向が大いにせよ、ちょっと差別的な気がした。献身的すぎる母親も少しやりすぎな気が….2010年の小説。作者は2013年に亡くなってしまったので今後、もう作品が読めないのがつらい。
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
POPEYE 2019年 2月号 [本当にいい部屋ってなんだろう?] POPEYE
お馴染みPOPEYEの部屋特集2019年版です。約50部屋くらい掲載されていて楽しい。
「本当にいい部屋ってなんだろう?」というテーマなんだけど、その答えはどこにも書いてないんですよね。「答えは自分 …続きを見る
クリエイターが暮らす家
家や部屋、インテリアが大好きなのでそういう本は見境なく買うんですが、これはくだらないですねえ。
載ってるクリエーターをひとりもしらないのは自分の問題なんですけど、住んでる家がみんなつまらないですねえ …続きを見る
古文書返却の旅――戦後史学史の一齣 網野善彦
著者は日本中世史の学者・網野善彦。といっても、日本史学の本流である政治史ではなく、中世から近世にかけての漁民や流通に従事した名もなき人々や、寺社の清掃や牛馬を扱う人々などを研究していた、言ってみれば異 …続きを見る
The Current 北澤平祐作品集 北澤平祐
山本さほさんの個展を見に代官山蔦屋書店に行きまして。その横で北澤さんのコーナーがあってサイン入りの画集が売っていたので購入。知っている絵だって思って。
北澤さんの絵が好きなら間違いない画集ですね。素 …続きを見る
ILLUSTRATION 2020 平泉康児
ここ何年かのイラストレーションは萌え絵ばっかりで構成されていて、とても表現の幅が狭くてつまらない本になっていたんだけど、これは素晴らしいよ! 初期のイラストレーションが戻ってきた感じ!
これから旬を …続きを見る
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? フィリップ・K・ディック, 浅倉久志
『ブレードランナー』の映画を先に見ていて、しかも見たのが2010年とかだったので
「古い映画だなあ」としか思わなかったんだけど、本を読み返したら「映画もちゃんと見返さないとなあ」という気分になった
…続きを見る
夏への扉ロバート・A・ハインライン ロバート・A・ハインライン, 福島正実
SF不朽の名作
冷凍睡眠とタイムトラベル
1970年代に冷凍睡眠した男が、2000年代に目覚める話
SFって難しすぎるのが、敬遠されがちないちばんの理由だと思うんですね
2020年代に読ん …続きを見る
日本車大図鑑 第2版 菊池憲司
これはスゴイ!
日本の乗用車のほぼすべてが詰まった本
今までの全自動車のカタログ的な本ないかなって探してたんです。
年度ごとのムック本はあるものの、アーカイブ的な本がなくて。
トヨタとかの …続きを見る