一見円満に見える家庭の主婦が夫を刺した。動機はなぜか…といった話が登場人物の視点を変えて考察されていく。そして明らかになる家庭内のモラルハラスメント…といった内容。
刺された夫の同僚や母親、娘、事件を捜査する警官などからの視点で家族の暗部を浮き彫りにしていくのだが、それらの人物の家族構成や家族に対する考えまで露わにされて、少し鬱陶しい。また、いかに刺した母親が献身的だったか、刺された父親がモラハラだったかという点が明らかになっていくのだが、パチンコ屋で財をなした父母に溺愛されて育った、それゆえに金銭的には裕福だが他人を思いやる気持ちがなく吝嗇だというのは、事実としてそうである傾向が大いにせよ、ちょっと差別的な気がした。献身的すぎる母親も少しやりすぎな気が….2010年の小説。作者は2013年に亡くなってしまったので今後、もう作品が読めないのがつらい。
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