俗に「渋谷系」と呼ばれる音楽はどのようにして生まれ、今の時代の音楽にどのように息づいているのかを綴った本。
この本はほぼ牧村さんの語り起こしで書かれていて、語り口をそのまま文字にしているから最初はまあなんて読みづらい本なんだろうと思いました。
でも内容が面白すぎてどんどん惹き込まれていく。
音楽論だけにとどまらず、そもそもの渋谷という街の成り立ちから変遷、流行、環境、社会論から渋谷系を語るという、渋谷系という性質に対するコンプリートガイドというか、まさしく図鑑。
日本におけるロックンロールの成り立ちはムッシュかまやつだとか、青学だとか、はっぴいえんどはどうだったとか、渋谷はこういう形状の街だからこういう音楽が集まっていって、こういう路線が通っているからあの街の音楽と融合し、こういう開発が行われたからこういう音楽が残ったとか、牧村さんでなければ語れない内容。
日本の音楽史を知るためにも最適。素晴らしい本でした。
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