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2021/10/29
多くの人が「面白かった小説」として挙げる『すべてがFになる』を読みました。すごい面白いんだけど、西尾維新のほうが面白いなあーと思ってしまった。
これは、森さんが理系の人だからだと思う。
すごく面白かったし、加点法で点数をつけたいんだけど、どうしてもひっかかるところがいくつかあった。
森さんの小説は、登場人物がロジカルすぎて、心がないみたいだった。少なくとも、心の機微はなかった。
だから登場人物に人間的魅力が欠けていたし、行動にも性格が表れていなかった。セリフ回しや描写も素晴らしいとは言えるものではなかった。平たく言えば、わかりにくかった。殺人事件のフックのみで引っ張っていったようなものだった。
森さんは、(理系の)殺人事件が書きたかったから、殺人事件を書いたのだと思う。
西尾維新は、小説が書きたかったから、小説を書いた。たまたま題材が殺人事件だった。
この差は大きい。『すべてがFになる』は、小説の形をした論文だ。
だから、西尾維新のほうが面白いなあーと思うとともに、自分が日本語の美しさを感じられる人間でよかった、と思いました。
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