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2021/03/23
タイトルはのこりび、と読む。白昼堂々、議員会館から盗み出されたヤミ献金一億円。盗んだ犯人は、かつて名を馳せた伝説の元ヤクザだった。犯人を今は議員会館の老守衛となった元マル暴刑事が追う。そして議員やヤミ金の送り主の不動産王とつるんだ元ヤクザも加わり…という、王道の冒険小説。
バブル時代に、決定的に変わってしまったヤクザのあり方。昔気質の任侠道が、カネだけが全てになってしまったという物語の背景が一貫していて、そして常に冒険、つまり主人公たちの行動で物語が進み続ける。
なぜ北に向かって犯人は進んだのかというところも最後に明かされるが、主人公の行動のように常に一本の筋が入っていた。「最果ての街」同様に丹念に現地取材をしたのだろうなという、ややくどい情景描写もあったが、図らずも東日本大震災で大きな被害を受ける前の東北各地が描かれており、作者が震災前にこうして東北各地を取材していたのは、何か縁があったのかもしれない。
東映ヤクザ映画をそのまま文章化したような作品なので好き嫌いが分かれるかもしれないが、やはり義理人情というものは、多くの日本人の琴線に触れるところもあるのではないか。文庫の解説文で分かったが、明らかに作者はそれを意識している。というよりも、そこに向けてこの作品を捧げたと言っていいかもしれない。西村健の小説はどれも読後感がいい。エンターテインメントの王道だ。
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