/
2021/11/19
ホラー、民俗をテーマに小説を書いてきた坂東眞砂子のデビュー作。
久しぶりに故郷の高知県の山村に帰ってきた女性は、故郷を離れてすぐ、幼馴染みが16歳で亡くなっていたことを知る。そして、その母親が四国八十八ヶ所を逆に回ることで幼馴染みを生き返らそうとしていると知り…といったあらすじだ。高知の山間部ののんびりとした雰囲気や、卒業後もずっと同級生たちが親密な様子、石鎚山や修験者といったホラー・民俗のテイストが入り、背後から死者の霊が追ってくるようなスリリングな展開もある。高知県になら地元の人も知らないような、死者が蘇る、ある地点があるのかもしれないと思わせる説得力がある。最後、寝たきりだった幼馴染みの父親が思わぬ活躍をする。
この小説が書かれたのは90年代だが、今現在の高知県の山村、山の上に開けたような集落はますます過疎化がすすみ、物語を作るのは難しくなっているのかもしれないと感じた。
アドセンス336×280レクタングル(大)
関連記事
ひろなかのなか 弘中綾香プライベートフォトブック 弘中綾香
テレ朝弘中アナのフォトブックというか写真集です。写真集にインタビューが6ページほどついているので「フォトブック」としたと思うんですけど、世にあるフォトブックのほとんどは駄作なのでストレートに「写真集」 …続きを見る
From Tokyo わたしの#stayhome日記2022-2023 今日マチ子
コロナ禍の日々を切り取った、今日マチ子さんの作品集の第3弾。
2022年から2023年の4月まで。
2023年6月現在、コロナはまだ日常に残っていますね。
街中では、マスクをつけている人6割 …続きを見る
愛のゆくえ リチャード・ブローティガン, 青木日出夫
リチャード・ブローティガンのなかでももっとも長く、小説らしい作品。
巻末に高橋源一郎さんのコラムが載っていて、高橋さんはブローティガンのなかでもこの『愛のゆくえ』が一番好きらしい。
舞台は図書 …続きを見る
美術手帖 2012年1月号 No.962 <特集 : 世界のアートマーケット> 美術手帖
アートはどうやって価値が上がり、どうやって値段が付けられ、ギャラリーはどういう仕事をして市場を作っていくのか
日本のアートマーケットは小さい
絵を買うことも一般的ではないし、ギャラリーに行くと …続きを見る
HERE ヒア リチャード・マグワイア
『バーナード嬢曰く。』という読書マンガがありまして。作者がSF読みだからSFの本ばかり紹介されるんですけど、このリチャード・マグワイアの『HERE』は絵本みたいで読みやすい、とのことだったので挑戦して …続きを見る
キュロテ 世界の偉大な15人の女性たち ペネロープ・バジュー, 関澄かおる
はじめて女性用水着を作った人や、はじめて性転換手術を受けた女性、世界ではじめて女性医師になったひとなど、それほど知られてはいないけど世界を変えたすごい女性たちをまとめた伝記マンガ。
選出が「知る人ぞ …続きを見る
リタ・ヘイワースの背信 マヌエル・プイグ, 内田吉彦
村上春樹のオススメ本シリーズ
アルゼンチンのバジェホスという町の1933年から1948年の記録。群像劇。
ある家庭では子供が生まれ15歳になり、ある家庭では女の子が結婚し、ある者は都市に行 …続きを見る
ブローティガン東京日記 リチャード・ブローティガン, 福間健二
リチャード・ブローティガンの1ヶ月半の来日の記録。来日の日々で書いた詩をまとめたもの。
タイトルは日記だけど、すべて詩。
ブローティガンといえば藤本和子さんの翻訳があってこそと思っていましたが …続きを見る
鋼の錬金術師 20th ANNIVERSARY BOOK 荒川弘
鋼の錬金術師、20周年記念本
鋼の錬金術師展で購入
一般書店には流通していないかも…。amazonでは買えます。
映画のパンフレットだけに載った漫画だったり、ゲームソフトの説明書だけに使われ …続きを見る